剣道における基本の構えは中段ですが、中には上段を使う人もいます。
どちらかと言えば少数派ですが、上段には上段のメリットがありますし、練習する価値はあると思います。
ただし、すぐに使えるモノではないですし、デメリットもあります。
そこで今回は、上段のメリットとデメリット、そして素振りの練習方法に焦点を当ててお話します。
上段の性質をしっかり知ろう
剣道の上段は別名「火の構え」と呼ばれるほど、攻撃特化型の構えなのです。
この構えを最大限活かす為には、「揺るぎない自信」、「動じない度胸」、「鍛え上げた腕力」が必要となります。
これらが高いレベルで揃っていないと、上段を使いこなすことは出来ないでしょう。
それでは、上段にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、竹刀を頭上に構えているので、有効打突部位に最短距離で振り下ろすことが出来ることが挙げられます。
更に、片手打ちによる遠間からの打ち込みが可能なことも利点の一つでしょう。
これらが技術的なメリットですが、精神的なメリットとして、体を大きく見せて相手に威圧感を与えると言う効果もあります。
メリットを把握したところで、デメリットも知っておいて下さい。
上段は中段と足さばきが逆なので、相当練習しなければまともに動くことも出来ません。
また、片手打ちが可能だと述べましたが、片手打ちが有効打突となるにはかなり高い精度で打ち込まないといけないので、これも中々難しいです。
そして、最もわかり易いデメリットは、構えの性質上面以外が無防備になることでしょう。
前述で述べた自信や度胸は、このデメリットを補う為に必要なのです。
上段を始めるには
ずっと中段で剣道をしてきた人が上段に転向するのは、最初から剣道を学び直すようなモノです。
それらを踏まえた上で練習方法をご紹介すると、何より必要なのは上段での素振りと足さばきです。
この二つを徹底的に練習しなければ、上段を習得することは難しいでしょう。
面打ちの素振りでは、最初は抜けずにその場で一歩踏み込んで、両手で打つようにして下さい。
ここで意識するのは左手首のスナップで、これに関しては片手打ちでも同様です。
右手で竹刀を押し出すのは、左手首のスナップを補助するくらいに考えましょう。
その場での素振りに慣れたら、抜けて残心まで行って下さい。
ここでの注意点は、上段での足さばきを心掛けることです。
先に述べたように上段の足さばきは中段と逆なので、無理に速く動こうとせずに正確さを重視しましょう。
それが出来て初めて、速さを追求出来るのです。
次に小手打ちの素振りですが、相手が青眼の構えだと仮定するなら、真っ直ぐに踏み込むと確実に当たりません。
その問題を解決するには、相手の剣先を自分の竹刀の軌道の内側に来るようにして、左前に踏み込むと同時に、鍔元に振り下ろさなければなりません。
小手打ちの素振りの際も左手首のスナップが重要ですが、面打ちとは方向が違います。
小手打ちの場合は竹刀を振り下ろした瞬間に、左手首を内側に回すようにスナップしましょう。
これらのことを意識して練習することで、ようやく上段で戦える地盤が出来る程度です。
そこから技を磨かなければ、試合で勝つことは出来ません。
中段のときの癖も抜かなくてはいけないので、中途半端にやめてしまえば上段も中段もろくに使えなくなってしまうでしょう。
ですから、上段を始めようとしているのなら、最後までやり遂げることを覚悟して下さい。
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